ミッドセンチュリーモダン

 レトロブームと呼ばれて久しいが、もはやレトロはブームではなく、成熟社会における一つの定番デザインである。しかしそのレトロの中でも、話題になる時代と様式に変化がある。今旬なのは、ミッドセンチュリーモダンだ。
 ミッドセンチュリーとは、文字通りセンチュリー(世紀)のミッド(真ん中)ということであり、本来20世紀の真ん中の1950年代頃を指すが、現在の使われ方では1970年代初頭までが含まれているようだ。
 したがってミッドセンチュリーモダンとは、1950年代〜70年代初頭の、特にアメリカのモダニズム(近代主義)的なデザイン様式であり、チャールズ・イームズやエーロ・サーリネンらのデザイナーがデザインした家具がその典型である。
 それらは無駄な装飾がなく、すっきりとしたデザインで、機能的で合理的な印象を与える。また一方では、プラスチックを使って自由な成形とカラフルな発色をほどこした未来的なデザインもミッドセンチュリーモダンの魅力である。
 こうしたミッドセンチュリーモダンのテイストを持った家具、インテリア、雑貨を置く店が増えている。今の若い世代は、自分が生まれる以前の時代のデザインが非常に新鮮に見えるのであろう。彼らの回りにあるオーディオもパソコンも無味乾燥なデザインのものばかりだったからだ。
 ところがiMacがデザインによる差別化を図り、以後、MDラジカセなどのオーディオもカラフルになっていった。その過程で、単にスケルトンだけでなく、多彩 な色を自由に使ったミッドセンチュリーモダンの家具や家電、雑貨の持つデザインが注目を集めたのであろう。  アメリカだけでなく日本のデザインも人気がある。1970年前後の日本の家電は、当時の楽天的な世相を反映した、大胆な形状と色合いのものが多い。宇宙船のような形のラジオ、スポーツカーのような形のレコードプレイヤーなど、今の若い世代をびっくりさせるものが多いのである。吉祥寺の「ラウンダバウト」のように、こうした1970年頃の家電を一種のデザイン雑貨として売る店もある。
 オートバイやスクーターのデザインも、今はミッドセンチュリー風の形状と色が人気である。松下電器のwillシリーズの電子レンジもそうである。まだまだミッドセンチュリーの人気は拡大しそうである。