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■団塊ジュニアと住宅
この1年の雑誌の特集を見ると、カフェ、家具、住宅の特集が多い。特にこの半年は、建築家に注文する住宅とか、デザイナーズマンションに関する特集が『ブルータス』『ペン』『マンスリー・メモ』『エスクワイヤ』などの男性誌で毎号のようにくまれている。
こうした流行の背景には第二次ベビーブーム世代が30代に入り、住宅市場に参入し始めたことがある。折しも地価下落と都心居住、都市再生が叫ばれる中、港、渋谷、中央区などではマンション供給が盛んであり、30代の人口が増加しているという。ここに第二次ベビーブームが来れば、さらに住宅市場の拡大が期待できるというわけだ。
しかし、第二次ベビーブーム世代あるいは団塊ジュニア世代の住居観が、これまでの世代と同じとは考えにくい。人口の多さに注目するだけでなく、彼等の住居観を質的に分析する必要がある。
高度経済成長期以降、これまで日本人は、郊外の家に住む核家族を単位とするマイホーム主義を信じてきた。マイホーム主義とは、結婚して、子供を産んで、家を買い、家電や自動車を買って、豊かな消費生活を味わうことを良しとする価値観だ。団塊世代はそのマイホーム主義を最終的に仕上げた世代だと言える。しかし団塊ジュニア世代は、そういう価値観から脱却しつつあるというのが私の認識だ。
団塊世代は、女性ならほとんどが25歳までに結婚し、すぐに子供を作った。男性でも30歳までには結婚し子どもをもうけた。収入が少ないうちに子育て期に入ったので、住宅について選択的消費ができなかった。しかも、結婚・出産後にちょうどオイルショックがあり、収入自体も伸び悩んだ。
1970年代はインテリアブームが拡大した時代だから、オイルショックがなければ、団塊世代のニューファミリーは、もっと住宅やインテリアに消費を振り向けた可能性は高い。しかし、現実の団塊世代は、どんな街に住むか、どんな間取りの家に住むかといったことに関心を払えず、通
勤時間と面積と価格だけで住宅を選んだのである。
ある住宅情報産業の方の話だと、すでに1980年代初頭に公団住宅は間取りのフリープランを提案していたが、当時の主な買い手であった団塊世代は、フリープランのできる住戸を全く選ばず、ごく普通
の画一的な住宅を選んだという。これは、経済的な問題だけでなく、そもそも団塊世代は、画一的で均質な大量
生産品を好むという世代的な特性のためではないかとも思われる。
こうした団塊世代に対して、第二次ベビーブーム世代、団塊ジュニアは結婚も出産がどんどん遅れている。女性の就業も増えている。ゆえに結婚、出産時点で可処分所得が多い。だから住宅も選択的に消費できる。都心にも住めるし、郊外に広々と住むこともできる。自分の価値観やライフステージの変化にあわせて、住む街と住居形態を選んでいくことを当然と考えるのだ。
これは、住宅を資産価値より、その時々の自分にとって最適な利用価値ととらえる価値観だとも言える。この価値観に立つと、新築である必要は必ずしもない。中古をリフォーム、リノベーションすればいいということになる。工場や倉庫を住居に転用するケースも増えるだろう。
また、従来の住宅地がただのベッドタウンだったのに対して、今後は職住遊が融合した住宅地と住居が望まれるであろう。SOHO、ベンチャーを指向する者が増えれば、ますますそうした傾向は強まるはずである。
もちろん資産価値がどうでも良いということではない。しかし、放っておいても地価が上がり、適当な物件でもそこそこ中古で売り抜けた時代ではない。よほど利便性が高いか、設備がいいといった付加価値の高さが要求される。その意味でも、デザインの良さは新しい高付加価値創造のために必須となる。特徴のない新築マンションを5000万円で買うより、立地の良い中古マンションを3000万円で買って2000万円かけてデザイナーズマンションに大改装したほうが、高く売れるし、貸すときも高く貸せると判断する人も増えるであろう。
一方、団塊世代も、子育てを終えて、より自分自身の価値観に帰るだろう。郊外のマイホームを離れ、都心に引っ越して消費や文化を享受する人、反対に田舎に移住して自然を満喫する人が急増するであろう。いずれにせよ、郊外に建売分譲住宅を大量
供給するだけの時代は完全に終わるに違いない。
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