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団塊世代005 子育て

 団塊世代の子育ては成功したのだろうか。団塊世代は1970年から85年までに1400万人以上の子供を産んでいる。これは同時期の総出生数2800万人のちょうど半数に当たる。今年18歳から33歳までの人間の半分は団塊世代の子どもなのである。
 これだけ団塊世代の子どもが今の若者に多いとなれば、当然団塊世代がどんな子どもを育てたかが現在の若者文化全体に大きな影を落とすことになるはずだ。
 では、1970−85年生まれに何があったか? 言うまでもなく、受験競争の加熱であり、いじめ、不登校、そしてパラサイトシングル、フリーター、ひきこもりの増加である。
 まず受験競争を見てみよう。文部科学省の調査によると、中学3年生の通塾率は1976年には37.4%だったが、85年には47.3%に10ポイントほど増え、さらに93年には一気に20ポイント増えて67.1%にまで増加している。
 93年の中学3年生は1978年生まれ。父親が団塊世代である確率が最も高い世代である。団塊世代は、子どもの受験競争を過熱させた世代なのである。
 しかし団塊世代は子どもに対して決して厳しいわけではない。NHK放送文化研究所の調査が1992年に行った中学・高校生対象の調査がある。これはちょうど団塊世代の子どもの比率が高い73年から80年生まれの世代にほぼ相当する。
 これによると「お父さんは私に対して厳しい方だ」と思う中高生は23%ほどにすぎず、かつその比率は82年の37%よりかなり低下している。一番尊敬している人として父親を挙げる者も、36%から28%に低下している。
 こうしてみると、親が子どもの教育に厳しくなったから受験競争が激化したとは言えない。むしろ、親が子供に目標を示せなくなったために、子どもを塾にやるしかなくなったと考えられる。
 昭和ヒトケタ以上の世代には、今なら大学教授になったような知力のある人間が、経済的事情で小学校しか出ていないという事例がたくさんある。自分より頭の悪い人間が、大学さえ出ていれば出世できる現実の中で辛酸をなめている。だからどうしても子どもには学歴が必要だと考えた。
 他方、昭和ヒトケタ世代以上ならば、学歴なんてなくても立派に生きていけると胸を張って言うことができる人もたくさんいた。いずれにしても、子どもの学歴に対して明快な態度決定ができた。
 それに対して団塊世代は、どうしても学歴が必要だとも、学歴なんか無用だとも言い切れない。中途半端である。だが、まあ、とりあえず大学くらいは出た方がいいと考えて子どもを塾に入れたのである。
 また、先のNHKの調査では「できるだけ子どもの自由を尊重する親」「子どもの言い分を聞いてやる親」になりたいという親が82年から92年にかけて増加していた。個性重視、自主性尊重といえば聞こえがいいが、それは親としてどんな生き方がいいかを示せなかったことの裏返しである。
 親という最も身近なところに生き方の座標軸を見つけられなかった子どもたちは、自分が何をすればよいかがわからなくなった。NHK調査によれば、「将来何になりたいか決めている」高校生は82年の50%から92年は35%に減った。将来の見通しがないまま大学に進んだ若者の増加は、不況と相まって大量のフリーターを発生させた。
 女性の自立を叫び、男性に家事能力を求めるフェミニストたちも、子育てに関してはあまり成功したとは言い難いようだ。私が最近会ったフェミズム研究者も、息子は31歳になってもフリーターだという。だがくだんの研究者は悪びれもせず、フリーターのどこが悪いと開き直っていた。
 これで団塊世代が定年を迎えれば、団塊世代への年金と、その子どものフリーターという、親子の二世代にわたる社会への大量のパラサイトたちによって、日本は間違いなく破綻するであろう。


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